
5月1日、第25回全州国際映画祭が開幕した。オープニング作品は、世界中の映画界が注目している日本のニューウェーブ作家の一人、宮木翔監督の<夜明けのすべて>で、多くの期待を集めている。宮木翔監督は2019年に<君の鳥は歌える>で第20回全州国際映画祭に参加したことがある。彼は5年ぶりに再び全州を訪れた感想を述べた。「全州に戻ってこれてとても嬉しい。あの時、全州には映画を愛する人が多いと感じた。観客だけでなく、すべてのスタッフが映画を愛していると感じられ、映画を尊重する空気を感じた。今回もそのような空気と刺激を持ち帰りたい。」第25回全州国際映画祭で最初に見た<夜明けのすべて>の感想とともに、宮木翔監督の言葉をお伝えする。

激しく降る雨に服がびしょ濡れになるほど打たれている女性。体の力が抜け、そのまま倒れ込む。藤沢(上白石萌音)は月経前症候群(PMS)にひどく悩まされている。月に一度その周期が訪れると、彼女は自分の体と感情を制御できなくなる。抑えきれない苛立ちと怒りが込み上げると、周囲の誰かが彼女の犠牲者になってしまう。あらゆる方法を駆使しても改善しないPMSのために、藤沢は職場と周囲の環境を変える。忙しい大企業を辞め、比較的余裕のある中小企業の栗田科学に転職する。ここでは人々が何事にも寛容で情に厚い。彼女の攻撃的な怒りが訪れても、何事もないかのように反応し、一緒に耐えてくれる。しかし、ここで出会った別の男性、山添は少し変わっている。彼は他の同僚と交流せず、勤務時間中にもガムを噛んでいる。何より、彼が炭酸飲料の蓋を回すたびに出るシュッという音は耳障りだ。

栗田科学に入社して間もない新入社員の山添(松村北斗)。彼はパニック障害を抱えている。大企業に勤め、彼女とデートをし、友人との約束をすることにもためらいがなかった時間は、すでに過ぎ去ってしまった。今や彼の部屋に貼られたさまざまな賞状が色あせて見え、もはややりたいことがない。競争心も特別な目的もなく働く栗田科学の社員たちを見下しながらも、今の自分に適した場所だと思っている。ただ平和に生きるために必要なお金を稼ぎたいだけだ。しかし、先輩の藤沢が彼の平和を壊す。食べないお菓子を持ってきて、炭酸の音で怒鳴る。何より、彼女は彼が隠してきた病気を知り、彼に近づいてくる。
より良く生きる方法を考える痛みを抱えた青春の物語

瀬尾舞子の小説〈夜明けのすべて〉は、PMSに悩む女性藤沢とパニック障害を抱えた男性山添の物語を淡々とした文体で描いている。男女の視点を交互に持ちながら多視点で展開される原作では、読者は一つの事件に対する二人の視点を見ることができる。読者は二人の視線を行き来しながら、病気に対する固定観念や先入観を打ち破る。瀬尾舞子は社会の中で人々に誤解されやすい彼らの声を伝えている。
宮木翔監督は社会の境界の外に立つ人々の生活を繊細に捉えてきた。<君の鳥は歌える>では暗い夜を彷徨いながら時間を無駄にする青春たちの無力さを捉え、<君の目を見つめれば>では聴覚障害を抱えるプロボクサーの厳しい日常を描いた。今回の作品でも彼の視線は疎外された者たちに向けられている。宮木翔監督は原作を脚色した理由として「PMSやパニック障害だけでなく、さまざまな理由で苦しんでいる人が多いと思う。この苦しみは肉体的な困難よりも、辛い原因を得ることで社会で一緒に活動できず、職を持てないことから来る苦しみだ。そんな苦しみを抱える人々について考えてほしいという気持ちで作った」と述べた。さらに「原作小説を読んで主人公たちに惹かれた。彼らの病気に惹かれたわけではない。彼らは自分が置かれた状況について自問自答する過程を繰り返す。その過程で固定観念を持たず、より良く生きる方法を考え、何らかのアクションを起こす。そんな主人公たちが可愛くて魅力的だと思った」と語った。
光へ進むまで

山添は初めて登場した時から暗闇に覆われている。光が差し込む兆しのない暗いミザンセーヌは彼の心理を象徴している。藤沢は自分と同じように苦しんでいる山添を助けようとする。電車に乗れない彼のために自転車を渡し、コンビニの食べ物を買ってきたりもする。また美容室に行けない彼のために代わりに髪を切ってあげる。最初は彼女の助けを余計なお世話だと思っていた山添は、いつの間にか藤沢のように変わってしまった自分を発見する。彼はPMSで早退し、家で休んでいる彼女に会社に置いてきた携帯電話を渡すために、彼女がくれた自転車に乗って出かける。パニック障害が発症して以来、他人に関心を持たなかった山添は、藤沢のために暗闇から光の中に入っていく。山添が藤沢に会いに行くシーンは映画で最も明るい光に包まれている。藤沢は山添にとって暗い夜空で輝く北極星のような存在だ。
孤独な人々が連帯して描くオリオン座

藤沢と山添が通う小さな会社、栗田科学は子供用の天体投影機(プラネタリウム)を作る場所である。彼らは人々を招待して天体投影館を披露する準備で久しぶりに忙しい。山添は天体投影館で人々に聞かせる解説を準備する過程で、30年前に栗田科学で働いていた同僚が残したプラネタリウムの音声が入ったテープと同僚のノートを発見する。山添は彼が残した資料を借りて北極星と星座に関する解説原稿を作成する。天体投影館を披露する日、藤沢は人々の前で、遠い昔、コンパスもなかった時代に迷った者たちの道しるべとなった星についての話をする。天体投影館の中で人々は彼らの頭上に広がる夜空の中の輝く星々を見上げ、感応する。
宮木翔監督は<夜明けのすべて>に至り、連帯意識を強化した世界観を描き出す。<君の鳥は歌える>では函館の三人の男女は情緒的なつながりを持たずに彷徨う青春として残った。<君の目を見つめれば>では恵子は周囲の人々と共に過ごす時間を通じて成長するが、彼らのコミュニケーションは緩やかなつながりにとどまる。宮木翔は前作<君の目を見つめれば>に続き、今回の映画でも自身の商標とも言える16mmフィルム撮影で他者とつながれない者たちの孤独感を画面に鮮明に表現した。ただし、<夜明けのすべて>では道に迷い彷徨うすべての人々を連帯させる。栗田科学は社会で働く権利を守ることが難しい藤沢と山添を受け入れ、山添も彼らと共に働き続けようとする。それぞれの世界で孤独に散らばっていた星々は集まり、星座を形成する。